建築現場の困った人たち (2)

 

  11.水漏れの原因は?

水道屋さん  

 水道工事で、給水や給湯の配管は床や壁を貼る前に行います。ま、これは当然のことですね。後からじゃ管が通らないから。
それで、造作材や家具の取付などはそれに気を付けながら釘やビスを使って取り付けて行くわけです。時には配管に釘を打ってしまったりすることもあるわけです。

これは、そんなお話です。

大工工事だけで受けた現場のことです。完成間近になって、給湯配管から水漏れがするとの報告、水道屋さんが言うにはどうも配管に釘が刺さっているみたいとのこと。それをした可能性のあるのは我々大工と家具屋さんしかありません。たまにはあることなので、家具屋さんと大工で仕上げた壁に穴を空けて調べることになりました。

取り付けた家具の裏に穴を空けるため作業は家具屋さんが主体で行われました。すぐに漏れているところがでてきましたが、少し離れていてよくわからない。だけど、おかしいんです!配管を横から覗き込んでいる顔に水がかかるんです・・・。普通釘が刺されば配管に対して直角方向に水がでるのに、これはどーゆーコト?

もう一つ穴を空けて調べてみると、案の定、継ぎ手の接合(ろう付け)不良でした。

これは濡れ衣だぁぁぁぁ!! (*`ε´*)ノ_彡☆バンバン!!

普段穏やかな家具屋さんたいそう怒った様子で水道屋さんに連絡していました。

「材料だけ用意しておくから自分でなおしておいて!!」 ( ̄△ ̄#) と。

仕上げ前に必ず配管に水を通してチェックしておくこと。
もっとも、私と取引のある水道屋さんはちゃんとやっていますけどね。

 

  12.任せるから・・・

御施主様  

 「10.はっきりしてください」とは正反対の話ですが、すべて信頼しきって任せてくれちゃう人もいます。
「よく分からないので任せるから好きなようにやって」
信頼してくれるのはうれしいし、楽と言えば楽なんだけど・・・。やっぱり責任が重くのしかかってくる気がします。
あまり高い物選べばあとで請求しにくいし、安い物ではクレームが心配・・・

 ( ̄〜 ̄;)ウーン・・・

 
やっぱりある程度の打ち合わせは必要ですね。

 

  13.勝手に壊さないで

仲介人  

  ある現場でのことでした。その現場で左官工事をやっている人(何でも屋で基礎工事や解体もやるらしい。以下Hさん)からの話で、「リフォームの大工工事をやってくれる人を探している。」との申し出に答え見積をすることにしました。
 無事見積金額も承認され、工事を請け負うことになりました。
もっとも、その時点で工事中の現場があり、そちらが終わってからしか着工できない事は何度も言ってありました。
そんな最中、Hさんから「浴室と脱衣の間仕切りを解体するように頼まれた、明日から壊すから」そんな電話がかかってきた。「ちょっと待ってよ! 今壊してもまだウチはいけないよ!延期するように言っておいて!」そんな悲痛な叫びも無視されて解体工事はされてしまいました。「こちらの都合を無視する元請さんとはつきあえないよ、とにかく元請さんと話をさせて。」現場で元請けさんと会うこととなりました。現場に着いたら元請けさんがいたけど、衝撃の発言が!

 「で、今から工事してくれるんでしょ?」

( ̄□ ̄|||) はぁ?


「こちらと相談もせずに勝手に工事を進める元請けさんとは付き合えないから断るつもり出来たんだけど・・・」

よく話をしてみると間に入ったHさんの勝手な解釈(思い違い)で工事をすると伝わっていたらしい。
世の中時々いるんですよね。人の言葉を自分の都合の良いように解釈して勝手に尾ひれ背びれを付けて話をややこしくしてしまう人が。
とにかく元請けさんはまともな人だったので全力で工事して正月までに台所と風呂を使えるようにしました。

 

  14.請求書の請求

御施主様  

 サラリーマンのお宅などの工事をするとよくあることです。
工事が終わるとすぐお金を払ってくれるんですよね。それはそれでありがたい事なんですが、リフォーム工事では追加や変更はつきものです。下請けさんからの請求書が届かないと計算が出来ないんです。でも言ってくれるんです。

「早く払ってすっきりしたいから請求書早く持ってきて!」

ありがとうございます m(_ _)m

でも、もう少しだけ待ってください。  

 

  15.照明器具がぁぁぁ

電気工事屋さん  

 日曜日の朝、のんびりインターネットなんぞしていたら突然の電話!
いやいや、電話はいつでも突然なんですけど(笑)

「実は今朝ダイニングキッチンの照明器具がテーブルの上に落ちたんだけど見てくれる?」

   (゜゜;)/ギク!

「どうも木ネジが3ミリ位しかきいてなかったみたい」

   (°θ°;) ナニー


この場合取り付けた電気工事屋さんに責任があるわけだけど、元請である建築屋(私)にも責任が発生するわけです。

「とにかく行きます。」

ドライバーと長めのビスを持って出掛けました。

そこの天井は石膏ボード下地にロックーウール吸音板が貼ってあり天井材の厚さは18ミリ以上あります。それを越して初めて下地に利きます。ところが器具付属のビスはそれほど長くないので付属のビスを使うとこのような事が起きます。

十分長いビスでしっかり止めて、お詫びをして帰ってきました。(内心なんでオレが謝らないといけないんだよー!と思いながら)

幸いけが人もなかったし、器具も無事だったようだけど、気をつけて下さいよ電気屋さん。
取り付けたのは確か息子さんだったけど、彼に限らず若い職人さんは「手応えで現在の状態を感じ取る」そんな能力が劣るようです。しっかり感じ取っていれば手応えでどの程度ビスが利いたか分かるはずなんです。たとえ電動ドライバーでもね。

 

  16.ろくでなし

基礎工事  

 水平の事を陸(ろく)と言言います。昔から役立たずの事をろくでなしと呼びますが、語源はここから来ていると聞いた事があります。建物は水平でないと駄目なんですよ。

 でも、昔は見えないところだからと手を抜く業者がよくいたんです。今やっている仕事もそんな建物です。パチンコ玉を転がしてみるなんて高度な?事やらなくても体感的に分かるんです。でも、こちらはプロですから数字を出してみないといけないので、測定してみました。結果は

(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル ((((


一番高いところを0として、僅か2DKほどのアパートの1室内部で110ミリの差!
基礎ごと建物全体が不同沈下している状態です。

更に!浴室廻りは・・・         く(""0"")>なんてこった!!
水漏れのため柱も土台も腐ってしまって消滅していました (T_T)

ろくでなしの建物を水平になるようにするのはやはり骨が折れます。
どのように解決したかは企業秘密です(笑)
  

 

  17.釘

大工工事  

 我々大工は釘を沢山使います。下地の取り付け、仕上げ材の取り付けにも使います。
労力削減のため最近はほとんどの釘をエアネイラで打ちます。コンプレッサーで空気を圧縮して釘を打ち込むあれです。早くて楽なのはありがたいのですが、やはり問題があります。しっかり釘が効いたか分かりにくいんですよね。手応えに注意していれば分かるんですけど先を急ぐ若い子なんかはそのあたり注意しないんです。

ボードを貼り終わった後裏から覗くと・・・

[壁]ロ°)ハッ

下地の隣に釘の列が!

機械とお話(手応えを感じる)しながら仕事しましょうね。


まだあります。これは不可抗力かもしれませんが、仕上げ材を取り付ける時ごくまれに内部で釘が衝突する事があります。下地材を取り付けている釘に、仕上げ材を取り付ける釘が当たってしまうわけです。
その時、行き場を無くした釘の先端が表に戻って来ます。

( ̄□ ̄;)ガーン

せっかく取り付けた材料に内部から釘が出てる。
  

 

  18.ウォーターハンマー

設計事務所と水道屋  

 水道関係のトラブルで「ウォーターハンマー」なる現象があります。
急激な水圧の変化(シングルレバー水栓の操作、全自動洗濯機の動作)で、給水配管が大きな音を出す現象です。
最近は対策部品もあり、あまり起きませんが、少し古い建物では時々発生します。

ウチの取引の水道屋さんにある設計事務所から電話がありました。
「水を流して止めて少しすると音が出る配水管の故障だから直して欲しい」
症状を聞いて「ウォーターハンマー」と判断した水道屋さんは時間が出来たら行くと伝えその場は電話を切りました。
忙しかったのと、元々自分がした仕事ではないので、一週間ほど放置しておいたそうです。
設計事務所から電話が掛かってきました。

「早く直してくれ!絶対排水の漏れだから!日にちを決めたからその日に絶対来てくれ!」
「いや、ウォーターハンマーだから心配ないから。」と水道屋さん
「そんな事ない!絶対排水だ!必ず来てくれ」
しぶしぶ出かけた水道屋さんですが、結果は

凸(´口`メ) ウラァ〜

やはり「ウォーターハンマー」でした。

専門家の意見は素直に聞きましょうね。

 

  19.手抜き発見!

大工  

 私は他の大工さんの悪口はあまり書きたくないんですけど。これはいくら何でも・・・・と言った一件がありましたので、こちらに書いてみます。

時々仕事を下さる方からの依頼で、「障子が倒れるようになったから直して欲しい」そんな仕事が入ってきました。まずは現場を見なければいけないので、お邪魔する事にしました。

8畳間、床の間付きの立派な座敷でしたが、確かに南側の4本引きの障子が倒れていました。鴨居を見たけどほとんど直線・・・と言う事は敷居が垂れているのかと思い調べてみると・・・。

(°m°;) アレマッ!
真ん中で25ミリも下がっていました。

下がった原因を探るため床をめくってみると・・・

|||||/( ̄ロ ̄;)\||||||| まじ〜〜?

床を支える床束が通常の半分しか入っていませんでした。
デジカメで写真を撮りその場でお施主さんに説明しました。
「息子にもこの写真を見せてやって欲しい」との依頼を受けこんな報告書を提出しておきました。

どんな考えでこんな作り方をしたのか?私はそれが知りたい。

 

  20.トイレがない!

職人全般  

 新築工事では普通は仮設トイレを作ります。丸一日そこで作業する人にとってはトイレは必要不可欠です。リフォームでは都合で仮設トイレの設置が出来ない場合もあります。現在使用中の家だったらトイレをお借りすればよいのですが、この前やっていた現場では建物の陰の下水升の蓋を開けて用を足していました。現在使われていない建物なので、雨が降らない限り下水管には水は流れません。

晴天が続くと下水管に溜まるんです・・・あれが・・・
そして臭いんです・・・。毎回バケツで流せば良いけど、皆さん忙しいから・・・。
やっぱり無理してでも仮設トイレはあった方が良いですね。


そして、新築でも受け渡し前の頃一時的に空白期間が出来ます。
外構工事のため仮設トイレは撤去されます。そして建物内部にはまだ誰も使ってない新品の便器があるんですけど、使えませんよね

そんなときに起きたトラブルの話を聞いた事があります。

ガス屋さん(最近は女性の作業員もいるそうです)が受け渡し前の家に仕事に来て、我慢できなくて新品のトイレを使ってしまったそうです。女性だったので下水升を開けて・・・なんて裏技使えないしね。

トイレから出た時にバッタリとお施主さんに出くわしたそうです。

    凸(´口`メ) ウラァ〜

俺より先にトイレを使うとは何事じゃぁぁぁ!新品と交換せい!

気持ちは分かります。自分の大切な家なんだから。
その後どうなったかは知りませんが、新築の家のトイレを使う時は十分な注意が必要ですね。


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