建築現場の困った人たち (3)

  

  28.耐力壁の釘

建築業者   

親しい方から頂いた情報をそのまま載せます。

ある住宅のモデルを見に行った時の話です。その建物は内装仕上げをせず、構造用合板をそのまま見せている建物でした。今まで何人かにそのような仕上げ?をした話を聞いたことがあるので構造用合板を見せることには何ら抵抗はありませんでした。

でも、それを設計した人が自慢げに言ったんです。

「ウチは構造用合板を止めるのにステンレス釘を使っている」と・・・

それを聞いた私?????

確かにステンレス釘は錆びないし、スクリュー釘だったら抜けにくいような気がします。でも、内装用のステンレス釘ではダメなんです。
7.5ミリ以上の構造用合板を柱や梁に直接張った場合、耐力壁として構造強度を計算する壁量は片面で2.5倍両面では5.0倍として計算できます。もちろんこれは取付方法などいろいろ決まりがあります。例えば柱の上下は規定の金物を取り付けないといけません。そして、釘はN50またはCN50を150ミリ間隔となっています。
N50は鉄丸くぎです。CN50は2×4などに使われる普通よりも少し太い釘です。これらの釘と内装用のステンレス釘と比べた場合、まず太さが違います。耐力壁の釘は引き抜きの力はもちろん掛かりますが、地震などの場合まず横にずれるせん断力が掛かります。規定より細い釘であればまず、そこで釘が切れてしまいます。
さらに頭の大きさも内装用のステンレス釘は小さいので、引き抜きの力が掛かった場合、釘が残っったまま穴が空いて板がめくれてしまいます。
また、ビスなども内装用のコーススレッドなどはビス自体の強度がないので認められません。

規定の釘が打ってない場合、実際の強度は別として法律上耐力壁と認められないか、良くて木ずりなどを打った壁として片面で0.5倍両面で1.0倍の壁倍率しかありません。

ステンレス釘を自慢していたあの人の建てた家、地震や台風に耐えられるでしょうか?人ごとながら心配です。

参考資料

 

  27.トイレが詰まった

悪徳業者   

 
今日午前の話です。うちの所有する借家の住人さんから電話がありました。
「トイレが詰まって水があふれているので見て欲しい」とのこと。
年末くらいから流れが悪かったけど、今朝は全然流れなくなったそうです。

トイレが使えないと不便だから、他の仕事を後回しにして、駆けつけました。
とりあえず、トイレの排水が出てくる排水升を開けてみました。

なんと!水がたっぷりたまっています。

トイレが詰まったのではなく、排水管の詰まりが原因でした。トイレからの排水が出てくる升と、道路際にある最終升その中間に何かが詰まっているみたいです。

とにかく詰まりを抜くために、持参したホースを蛇口に差し、全開します。
そして、詰まっている升の中から最終升に向けてホースを突っ込んでいきます。
でも、たまっている水はきれいではないですよね・・・・
当然あれも混じっているし、あれもあるわけだから・・・

でも、勇気を出して手を入れてホースをグイグイと押し込みました。
まあ、が付くのは良いことだろうから(苦笑)
細かく砕けたう○ちに混じってなにやら白いものが出てきます。
この白いものが詰まりの原因でしたが、その件は後ほど説明するとして、

15分ほど悪戦苦闘した後、無事、詰まりは抜けました。

さて、問題の白い物体の正体ですが、話は去年に遡ります。
ある日、妙なお客が来たそうです。
「近所で水道工事をしているものだけど、影響がないか調べさせて欲しい」
そう言って敷地内に入ってきたそうです。

家に上げるわけではないし、まあいいかと思い許可したそうですが、
しばらくすると、玄関をドンドン叩いて
「奥さん!ちょっと来てください!大変です!」
あまりに激しくしつこいので、恐くて出なかったそうですが、
後で見てみると排水升の中に石膏のような白いものがいっぱい入っていたそうです。

まだそれが残っていたので、触ってみると、油か何かを固めたもののようでした。
その油を入れられたのはもっと上流の升でしたが、その固まりが流れて、どこかにくっついてしまったのでしょうね。だんだんと流れが悪くなり、ついには詰まってしまった次第だと思います。

あのまま騙されれば、何十万とか何百万もの値段で排水管の入れ替え工事をさせられたのだと思います。

とにかく悪徳業者の手口として、「近所で仕事をしている」のパターンが多いようです。
「近所で仕事をしている」と言ったら位置を詳しく聞いてみましょう。
きっと言葉に詰まると思います。言葉に詰まらなかったらその現場まで案内するよう
言ってみてください。きっと嘘ですから(笑)

ちなみに今回の工賃は無料でした。お客さんの責任ではないし、毎月きっちり家賃を払っていてくれるので、請求なんてとてもできません(汗;

  

  26.恐怖!隙間から覗く黄色い物体!

我が愚弟   


ある寒い朝の事でした。賃貸で使ってもらっている階下の会社から「水漏れがしている」との報告、見に行くと辺り一面水浸し、これは大変だ!と言う事ですぐに修理にかかりました。

水漏れは天井からです。どうも、我が家の配水管が壊れたみたいです。
天井に穴を空け(大工ですからこれは躊躇無くできる)調べてみると、ジョイントで100φのパイプが切れている!長年の老朽化と今朝の寒さでパイプか縮んだのが原因のようです。

パイプをある程度切ってジョイントし直す作業にかかりました。
この程度の作業は大工でもできます。

すると突然!大量の水が配管から出てきました!
私はずぶ濡れです。

ふと見上げると、なにやら黄色い物体がパイプから顔を覗かせてます。

 

(;°°)ウッ!



(⌒◇⌒;) げっ



何も知らなかった弟がトイレでう○ちをしたようです。

   

  25.激安工務店の末路

建築会社   


材木屋さんから聞いた話です。

ある方が家を新築するにあたり多くの会社から見積もりを取り、その中でも一番安かった会社に決めたそうです。

その会社は我が家からさほど遠くない所にあり中堅程度で多くの従業員を抱え、結構盛大にやっていました。

でも不況続きで経営が苦しかったんでしょうね。社員に給料を払うため絶え間なく仕事を取り続ける必要があったみたいです。そして、無理な値段で仕事を取り、最後は膨れあがった借金に耐えられなくなって倒産したそうです。

さて、困ったのは新築工事中のお客さんです。
まわりのみんなからは「そんな安いだけの所に決めるからだよ!」と批判されたみたいです。その人の家がその後どうなったかは知りませんが、大変だったでしょうね。

格段に安い値段を出してくる業者は要注意です。

   

  24.メールが使えない(涙)

下請業者   


インターネットが普及して多くの人が電子メールを使えるようになってきましたが、建設業界、特に職人さんとの連絡は電話かファックスがいまだに主流です。

ある業者さんに現場の状況をわかりやすく伝えるため、どうしても写真を見せたかったのですが、持って行く暇はないし、郵送では時間がかかりすぎる、さりとてファックスでは画像がつぶれてしまってまともには見られない。

何とかメールでと思ったけど、その職人さんは仕事は一流だけど、全くのメカ音痴、メールなんて全然わからない・・・・。

それでも奥様はインターネットでいろいろ調べ物しているそうで、奥様に頼めば何とかなりそう。電話をしてみました。

大工のとうちゃん  「現場の状況を知ってもらうためにメールで写真を送りたいのですが、
            アドレス教えていただけますか?」


奥様          「ごめんなさい、ホームページ見るだけでメール使えないんです。」

大工のとうちゃん   (・・ ? ) エッ


結局写真を自分のサーバースペースにアップしてそのURLをファックス送信しましたとさ。

 

  23.連絡が取れない!

元請業者   


以前から取引のあった、ある建築屋さんの話です。

建築屋とは言っても、一人で経営していて、直接の施工はほとんどしないブローカーのような人でした。
元々デザイン屋だったそうで、細かな施工についての知識もあまりなく、「工程管理」いわゆる段取りの悪さでは定評のある人でした。

それでも仕事をくれるので、請ける事ができる時は仕事を請けてお付き合いしていました。

二百数十万の内装工事をして、請求書を出しましたが、一部もらっただけでなかなか
支払ってくれません。
「全額払うからもう少し待ってくれ」
そういわれて辛抱強く待っていましたが、なかなか払ってくれる様子がありません。
堪忍袋の緒を切らしてかなりキツイ言葉で請求し、支払いの計画書を提出してもらいました。

第1回の支払い期日がせまった月末だったと思います。その人からの仕事を請けていた別の業者さんから電話がありました。

「○○さんの携帯がつながらなくなったし、家に電話を掛けても誰も出ないけど、何か知らない?」
「え!?何も知らないけど・・・」

何も手だてが無く数ヶ月が過ぎました。
先方の弁護士から破産したとの報告の書類が届きました。

こうなると完全にお手上げ(涙)残金の総額\1,853,059は回収できる望みが無くなりました。

しっかりした現場管理ができないその建築屋さん、住宅の新築工事であまりにもひどい仕事をして、クレームに対応しきれなくなったのが直接の原因だったそうです。それ以前の積み重ねもいろいろあったみたいですけどね。

 

  22.素人の暴走

関連業者   

以前から付き合いのあるある業者さんから仕事の依頼が来ました。どんな業種かは明確に書きませんが、文面から読み取って下さい。

工事の内容は古い木造店舗のリフォーム、補強工事も含まれます。
工事計画を聞いてみたら無理が多すぎる。とにかく補強するには壁や天井をはがして現在の構造を確認しないとダメなんですが、手順として2階のプリントからはがしたらそれが気に入らなかったらしい。

自分は大学の先生と一緒に本を書いて云々・・・訳のわからない自慢話を聞かされた後、
私はお払い箱になりました。

私もプロとしてこれ以上指示に従うわけにもいかなかったのでまあ、それで良かったのですが。

その後現場の様子は通りすがりに見ていました。また、人を通じていろいろ情報も入ってきました。

鉄骨で補強しまくっていたと思ったら元々あった柱や梁を外し始めて、最後には屋根までも・・・。それもかなり手間を掛けとモタモタやってました。

結局は近所の人が役所に通報して工事は差し止め、
責任はないとは言え、あの現場にウチが関わった事だけでもいい恥さらしです。

建築と密接な関係の業種の人は自分は何でも知っていると思いこんでいますが、
やはりプロではない、プロだけが知りうる深い世界があります。
建築の難しく奥深いところですね。

 

  21.素人大工?

大工さんもどき?   


何年も前の話です。バブルがはじける前でまだまだ景気の良い頃でした。
古い下町で住宅の密集しているところで住宅の新築工事をやりました。
偶然、隣の家も建て替えの新築工事が始まるところでいろいろと様子を拝見していました。

隣の現場は新聞広告も出している地域では中堅クラスの建築会社。しかし、隣で仕事をしているとその実態が明らかになってきました。


付近は道路が狭く、とても路上駐車できる状態ではありません。荷物を降ろしたりする時はともかく用が済んだらすぐに車を移動しないといけません。
私の所は近所の空き地をお金を出して借りました。ところが、隣の建築会社は駐車場をまったく確保してなかったようです。なんと!隣接した月極駐車場の空いているところに無断で駐車していたのです。現場監督が駐車場の借り主にこっぴどく叱られているのを目撃してしまいました。現場監督は土下座して謝っていました。

そりゃ怒るよな、自分の借りている駐車場を勝手に使われたら。

(`m´#)ムカッ



そして、次がまたひどい話です。
内装工事が始まり、大工さんが入ってきました。

でも何か変なんです。普通の大工さんは省力化のため、コンプレッサーと釘打ち機でほとんどの釘を打ちます。でも、耳を澄ませても聞こえないんです・・・・
コンプレッサー・・・・・・

聞こえるのは手打ちで釘を打つ音のみ

トントントントン・・・・トントントントン・・・・

音でわかります。玄翁(かなづち)の柄を短く持って叩く素人特有のあのリズム・・・・
そして、頼りなさそうなあの音。

プロは長く持つから間隔長いものの、力強い音が聞こえてくるんです。
トントンよりはカン!カン!カーン!と甲高い音が響いてきます。
それと釘打ち機の音ね(笑) バシュ!バシュ!バシュ!かな?

何週間か過ぎてその大工さん達は来なくなりました、そして新しく来た大工さんと毎日のように話をしたのですが、かなりひどい仕事をしてあったようです。
階段の位置を考えずに天井を張るものだから階段が掛けられなくなってたり、
8畳間の天井の釣り木が1本しかなかったり(普通は900oピッチだから9本はいるはず)。
結局、直しようが無くてかなり壊して作り直したみたいでした。
後から来た大工さん毎日愚痴の連続
でした。

一番気の毒なのはお施主さんでしたね、自分の大切な家ですから。
完全に信頼を失った監督はクレームの嵐でかなり苦労したみたいです。


完成後何年も過ぎた時の事でした、玄関ポーチに屋根を付けたいとの事で、私の所に仕事の依頼が
来ました。


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