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耐力壁の釘

建築現場の困った人たち に書いた記事の転載です。
親しい方から頂いた情報です。

ある住宅のモデルを見に行った時の話です。その建物は内装仕上げをせず、構造用合板をそのまま見せている建物でした。今まで何人かにそのような仕上げ?をした話を聞いたことがあるので構造用合板を見せることには何ら抵抗はありませんでした。

でも、それを設計した人が自慢げに言ったんです。

「ウチは構造用合板を止めるのにステンレス釘を使っている」と・・・

それを聞いた私?????

確かにステンレス釘は錆びないし、スクリュー釘だったら抜けにくいような気がします。でも、内装用のステンレス釘ではダメなんです。
7.5ミリ以上の構造用合板を柱や梁に直接張った場合、耐力壁として構造強度を計算する壁量は片面で2.5倍両面では5.0倍として計算できます。もちろんこれは取付方法などいろいろ決まりがあります。例えば柱の上下は規定の金物を取り付けないといけません。そして、釘はN50または CN50を150ミリ間隔となっています。
N50は鉄丸くぎです。CN50は2×4などに使われる普通よりも少し太い釘です。これらの釘と内装用のステンレス釘と比べた場合、まず太さが違います。耐力壁の釘は引き抜きの力はもちろん掛かりますが、地震などの場合まず横にずれるせん断力が掛かります。規定より細い釘であればまず、そこで釘が切れてしまいます。
さらに頭の大きさも内装用のステンレス釘は小さいので、引き抜きの力が掛かった場合、釘が残っったまま穴が空いて板がめくれてしまいます。
また、ビスなども内装用のコーススレッドなどはビス自体の強度がないので認められません。

規定の釘が打ってない場合、実際の強度は別として法律上耐力壁と認められないか、良くて木ずりなどを打った壁として片面で0.5倍両面で1.0倍の壁倍率しかありません。

ステンレス釘を自慢していたあの人の建てた家、地震や台風に耐えられるでしょうか?人ごとながら心配です。

参考資料

建築 : 01:21 : comments (x)
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